公教育のシステムチェンジに向けて、
私たちは、既存の制約
(学習指導要領の枠組み)の内側で、
まず構造を変容させることからはじめます。
制度の外で独自の枠組みをつくるのではなく、
既存の枠組みの中で一条校として実践することで、
他の学校にも展開可能なモデルを
提示していきます。
そのために、
3つの「学びの構造転換」を起こします。
第1に、学びが起こる条件を定義します。
未知なるものに出会うとき、人は自らの記憶や感覚との接点を手がかりに理解しようとします。しかし同時に、それがうまく当てはまらない余白に出会います。そこに生まれる違和感やズレが、センス・オブ・ワンダーとして立ち上がります。
こうしたズレは、目の前の世界とのあいだにも、共に学ぶ仲間とのあいだにも立ち現れます。自分が知っていると思っていたことと現実とのあいだに差異があると気づくとき、人はそれを埋めようとします。
そのとき、言いたいのに言えない、わかりかけているのに掴みきれないといった「追いつかない瞬間(ブレイクダウン)」が生まれます。
無理なく理解できる部分と、ブレイクダウンが起きる部分の両方が同時に立ち現れるとき、学びは自然と立ち上がります。
その両方が同時に存在できる関係性と場をデザインするアプローチを、「ILA(Interactive Learning Approach)」と呼びます。
第2に、評価の役割を捉え直します。
評価は、順位づけでも終点でもありません。
学びにおける自分の現在地—何が無理なくできるのか、どこで追いつかなくなるのか—を確かめ、次の一歩を見出すための羅針盤です。
無理なくできる部分は、いま安定して発揮できる力を示し、少し高い課題に挑んだときに起こる一時的なパフォーマンスの崩れ(ブレイクダウン)は、その力が次に広がろうとしている境界を示します。
私たちは、その両方を可視化し、教師と子どもが同じ地図を持ちながら学びを深めていくための「評価の枠組み(Proficiency Compass)」をデザインします。
第3に、学びの環境そのものをひらきます。
学習空間を教室の中に閉じず、小さな半径、流域全体、暮らしと生活のプロセスそのものを学びのフィールドとして広げていきます(Life-based Learning)。
生活との接地を失った学びは現実から浮遊し、やがて空洞化します。足元の解像度が低いままでは、より広い世界や抽象的な概念も十分に捉えられません。人は、自らの身体感覚や経験を手がかりにして、ものごとを理解していきます。
学びは日々の営みに埋め込まれ、生活の中で できることが少しずつ増えていきます。これまで気づかなかったことに気づけるようになり、認知できる世界の手触りが広がっていきます。
そこで生まれた問いを教室に持ち帰り、対話と探究を重ねることで理解は深まり、再び暮らしの中で試されます。
教室と生活のあいだを往復するなかで、無理なくできることが増え、ブレイクダウンの境界は少しずつ先へ移動していきます。それが、熟達です。
2025年度より、秋田県五城目町の公立小学校・中学校にて、丑田・古川のコーディネートによる、先生方全員に対する ILA(Interactive Learning Approach)の年間研修が始まっています。